こんにちは、とらです。
最近、30年という数字が頭から離れません。
今から30年前は、1990年代。私の青春と言っていい時代です。
あの頃、流行っていたものを思い出すと、不思議な共通点があります。80年代のアメリカ文化、50年代のロックンロール、ハーレーやアメ車。つまり「その時代の30年前」に憧れていた。
そして今。Y2Kファッション、90年代の音楽、シティポップの再評価。
またも、30年前が戻ってきています。
これは偶然なのでしょうか。
文化が30年で回帰する3つの構造
実は「文化の30年サイクル」は、音楽・映画・ファッション研究でよく語られる現象です。
理由はだいたい3つに整理できます。
① 文化を作る人は、30年前の若者だから
文化の主導権を持つのは、30〜45歳の世代です。
この世代が何をベースに作品を作るかというと、10〜20代に浴びた文化。だから今、文化を作っている人たちは「90年代の若者」で、自然と90年代が回帰します。シティポップ、Y2K、レトロゲーム。全部それで説明できる。
② 親世代の青春がかっこよく見える

もう一つ面白いのが、「親の時代への憧れ」です。
80年代の若者は、親が50年代文化の世代でした。
だからロカビリー、アメ車、矢沢永吉、クールス。あの時代に漂う「父親の青春がかっこよく見えた」感覚。
今になって思えば、あれも一種の文化回帰でした。
③ 不安な時代ほど、過去に戻る
文化回帰は、社会が不安定なほど強くなると言われます。
人は「安心できる時代」を探す。未来が見えないほど、過去がかっこよく見えてくる。
コロナ以降、90年代回帰が加速しているのは、偶然ではないのだと思います。
カセットからサブスクまで。音楽で見えた時代の変化
私の世代は、音楽メディアの大革命をリアルタイムで体験しています。
カセット → MD → CD → MP3・iPod → スマホ・サブスク
一本の線で繋がった変遷を、全部生きてきた。
90年代はテレビとCDの黄金時代でした。
テレビで曲が流れて、CDが売れて、ミリオンセラーが当たり前。B’z、ミスチル、GLAY。今でも聴いています。
ところが2000年代から、Napster登場で音楽がコピーできるデータになり、CD市場が崩壊しました。
iTunesで1曲単位に変わり、サブスクで「所有」から「アクセス」へ。
音楽を買う、という行為が消えた時代です。
一長一短はあります。月1000円で聴き放題は、ファンとしては確かに天国です。
でも昔の「ジャケ買い」の感覚は、今の時代には存在しない。情報がなくて、ジャケットと雑誌だけを頼りに買う。外れることもあったけれど、あの緊張感と興奮は、ある種の文化でした。
所有から利用へ。でも今、また逆回転している
この変化は音楽だけではありません。
車もバイクも、「買わなくていい、借りれば良い」という時代になった。
これは合理化の結果でもあります。東京で車を持つと年間100万円近くかかる。カーシェアで十分、という判断は間違っていない。
でも、ここで少し引っかかることがあります。
「買わなくていい文化」が、「稼がなくていいマインド」に変わっていないだろうか、と。
昔は単純でした。ほしいものがあるから稼ぐ。CDを買う、バイクを買う、ギターを買う。欲望が経済を動かしていた。今は欲望が「アクセス権」で満たせてしまう。これが日本人を弱くしたのか、と邪推したくなる部分もある。
ところが今、面白い逆流が起きています。
ビンテージギター、バイク、レコード、アナログ機材。「また所有したい」という動きが、特に40〜50代を中心に広がっています。
再生産できないもの、当時の素材と工法で作られたもの。デジタルが全てになった時代だからこそ、アナログに価値が戻ってきた。
そしてもう一つ変わったことがあります。今は相場が見える時代です。eBay、メルカリ、Reverb。世界の取引履歴が誰でも確認できる。リセールを意識して買える人と、そうでない人では、消費の質が変わります。これは「文化を楽しむ」と「資産として持つ」が重なった、新しい買い物の形です。
50代前後で人は原点に帰る
私が今やっていることを並べると、気づくことがあります。
ギターをまた弾きたい。
音響や音声編集を仕事にしている。
農業と複業で独立を模索している。
これ、全部90年代の青春の「再編集」に見えてくるんです。
文化研究では「人は50歳前後で原点回帰する」と言われます。残り時間を意識する。本当に好きなものに戻る。若い頃の価値観が再浮上する。
だとすれば、今私が感じている「あの頃に戻りたい感覚」は、個人の懐古趣味ではなく、時代の波と完全に重なっているのかもしれません。
90年代青春を生きた世代が、今ちょうど50歳前後です。この世代が一番お金を使う年齢に来ている。そして青春の物を買い戻す。
これは文化経済でかなり有名な現象で、意識せずともそこに乗っていた自分がいます。
さらに言えば、日本の経済サイクルも今が転換点と言われます。30年近く続いたデフレが終わり、緩やかなインフレへ。インバウンド、賃上げ、株高。文化の30年サイクルと、経済の30年サイクルが、ちょうど同じタイミングで重なっている。
まとめ:「今」は偶然ではない
文化は30年で回帰します。
そして人も、30年で原点に帰るのかもしれない。
90年代が戻ってきているのは、気のせいではありません。Y2Kファッションも、シティポップの再評価も、ビンテージ機材の高騰も、全部つながった流れです。
自分がその世代の当事者として、今ここにいる。それをビジネスや発信の軸に置いても良いんじゃないか、と思い始めています。
もし同じ世代で「昔の感覚が戻ってきた」と感じているなら、それは個人の懐古趣味ではなく、時代の必然かもしれません。ぜひ、その感覚を大事にしてみてください。

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