こんにちは、とらです。
先日、勤務先から「みなし残業制度の見直し・割増賃金算定の適正化」という通知が届きました。
読んだ瞬間、「ああ、基本給が上がるのか」と思いました。
違いました。
会社からの通知、読んで安心しませんでしたか
通知文にはこう書かれていました。
「人件費の削減や賃金水準の引下げを目的とするものではありません。」
月例合計を見ると、確かに1,420円増えています。
数字が上がっていれば、普通はそこで読むのをやめる。疑わない。
でも、引っかかりました。なんとなく。
それでChatGPTに資料を読み込ませて、ロジックを確認してもらいました。
みなし残業時間を減らすと、何が起きるか

今回の変更の核心は、こういう構造です。
みなし残業時間が30時間から25時間に削減されました。 浮いた5時間分は基本給に移されたので、月例は増えている。
ここまでは通知通り。
ところが、問題は「超過残業代の計算式」にあります。
みなし時間を超えた残業(26時間目以降)の単価は、こう計算されます。
(所定内賃金 − 家族手当 − みなし残業手当)÷ 170時間 × 1.25
ポイントは太字の部分です。みなし残業手当を、算定基礎から除外しています。
数字で確認すると、こうなります。
| 現行 | 改定後 | |
|---|---|---|
| 超過残業単価 | 約1906円/h | 約1,619円/h |
超過残業の時給が、約300円下がります。
損益分岐点を計算してみた
月の総支給を残業時間の式で立てると、改定前後でこうなります。
現行(30時間超から追加支給): 254,810 + 2,096 × (n-30)
改定後(25時間超から追加支給): 256,230 + 1,591 × (n-25)
両者が逆転するのは、残業 n ≒ 64時間。
所定170時間 + 残業64時間 = 月234時間が損益分岐点です。
※給与水準によって分岐点は変わるが、おおむね月234時間前後
| 残業時間 | 現行 | 改定後 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 30h | 339,020円 | 350,929円 | +11,909円 |
| 40h | 362,845円 | 371,167円 | +8,322円 |
| 60h | 410,495円 | 411,642円 | +1,147円 |
| 64h | 420,025円 | 419,737円 | ▲288円(逆転) |
大体234時間を超えると、手取りが改定前を下回ります。
法的にはグレー。会社は何を「説明しなかったか」
今回の通知で説明されていなかったことが、3つあります。
- 超過残業の単価が下がること
- 損益分岐点が月234時間であること
- 繁忙期への影響試算
「賃金水準の引下げではない」と書いた通知は、嘘ではないかもしれない。
でも、本番期に残業が集中する部署の話は、一言も出てきませんでした。
就業規則の変更で労働者に不利益が生じる場合、労働契約法第10条は説明・周知を求めています。法的にグレーかどうかは専門家の判断に委ねますが、「説明されなかった事実がある」という記録は残しておく価値があると思います。
AIで数字を掘り起こして、初めて気づけた
正直に言います。
AIがなければ、スルーしていました。
「月例が上がった」という表面だけ見て、そのまま同意していた。
今になって思うのは、ツールを持つことで「見えにくくされた構造」を数字で追えるようになったということです。
これは残業代の問題というより、情報の非対称性の問題です。
会社は設計を全部知っている。社員は通知文しか読めない。
その差を少し埋められる、それだけでも意味があると思っています。
まとめ:月230時間を超える働き方をしているなら、一度計算してみてください
みなし残業の変更は、一見プラスに見える設計になっています。
でも、残業が集中する繁忙期・特定部署には逆に働く。
それが今回の「適正化」という言葉の中に、静かに隠れていました。
もし同じような通知が届いた方がいれば、月例だけでなく「超過残業の単価」も確認してみてください。
数字は、正直に語ります。

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